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書評:「さいはての中国」をオススメしたい

JUGEMテーマ:オススメの本

 

「さいはての中国」安田 峰俊著 小学館新書

 

「さいはての中国」は、ルポライターである安田氏が中国各地に

存在するディープな場所を実際に訪れた体験記です。

 

2015年夏〜2018年春の雑誌「SAPIO」への寄稿のための取材との

事ですが、深センのネットカフェから内モンゴルの鬼城まで現代の

中国の社会事情を切り取ったオススメの本です。

 

秋の夜長に日本に居ながら現代中国の観察は如何でしょうか?

 


さいはての中国(小学館新書)

 


さいはての中国 (小学館新書) [ 安田 峰俊 ]

急速に近代化が進むお隣の国、中国。

 

経済発展により国民の経済力が著しく向上し、大量に生まれた中間層や富裕層が

海外旅行に出かけるようになり、中国人による爆買いが連日メディアを賑わした

時期もありました。

 

しかし、そうした経済発展の恩恵は、中国国民に一律にもたらされた訳ではなく、

富の偏在や格差が大きく拡がっているようです。

 

従来から北京、上海、広州のような巨大都市や、沿海部の中核都市と、内陸部や

東北の間の地域格差が指摘されて来ましたが、発展の進む地域においても都市住民と

農民工と総称される主に地方出身の出稼ぎ労働者の間には著しい格差が生じ、言わば

農民工の犠牲の上で都市住民が便利な生活を楽しんでいるという構図です。

 

日本にいると、生活水準の向上した人々について知ることは容易な一方、発展から

取り残された人々の暮らしや中国社会の変化を認識する事は簡単ではありません。

 

本書はそうした構図を切り取って、余すところなく伝えてくれます。

 

1. 深センのネットカフェ

 

深センは中国の秋葉原とも称される中国有数の大都市であり、WeChatを運営する

テンセントのお膝元でもあります。

 

香港に隣接する地の利を生かして発展を続け、今や中国で最もお金持ちの都市とも

言われているようです。

 

私も訪れた事がありますが、ドローンが飛ぶ電気街、銀色に輝く超高層ビルなど

極めて近代的な印象の都市です。

 

香港から深センへのアクセス紹介はコチラ

 

本書は第1章で、そんな深センのネットカフェを紹介しています。

そこは「あしたのジョー」や「じゃりん子チエ」に登場する昭和のドヤ街のような

地域で、安宿とネットカフェが数多く営業しているとの事です。

 

そんな街には日雇い仕事や身分証を売ってお金を稼ぎ、その資金をネットゲームに

注ぎ込む、本書が「ネトゲ廃人」と呼ぶ、多くの若者で溢れているそうです。

 

近代的な大都市に存在する昭和のドヤ街、興味をそそります。

 

2. 広州市の「リトルアフリカ」

 

北京、上海に続く中国第三の大都市である広州には、アフリカ人の黒人が集まる

言わばアフリカ・タウンとも言うべき地区があるそうです。

 

こうしたアフリカ人の多くは、衣料の仕入れのために中国を訪れた人々ですが、

中国人と結婚して家庭を持ったり、そこに居着く人も増えているとの事です。

 

ITやスマホサービスなど、遅れた段階からカエル跳びで一気に日本を抜きさった

印象もある中国ですが、著者によれば、社会面でもヨーロッパの先進国が抱える

ような移民問題を、カエル跳びで抱えるようになったとか。

 

3. 「習近平の聖地」

 

日本でも近年「忖度」という言葉が使われる機会が増えましたが、中国も例外では

ありません。例外ではないと言うよりも、むしろ比べものにならないレベルと

言うべきなのかもしれません。

 

古の都 長安である西安市の郊外にある富平県を訪れる人が、近年急速に増加して

いるそうです。

 

この街は中国の国家首席、習近平氏が文化大革命の時代に下放された場所であり、

習氏の出世に連れて観光地化が進み、かつて習氏が暮らした洞穴を見学でき、そこ

では若かりし習首席に関する数々の偉人伝を聞けるのだとか。

 

更には習首席の父上の墓地や記念館も造られ、巨大な公園となったこの場所は

党員や学生の研修場所に指定されるようになったとの事です。

 

忖度に溢れる場所のようですが、外国人は立ち入れ禁止とか。。。何故???

 

4. 「新首都候補」河北省 雄安地区

 

こちらも習首席の一声で、副都心の建設予定地となった雄安地区の紹介です。

 

北京の西南110kmにある容城県は、激しい大気汚染に晒された田舎町だそうです。

今はアクセス手段も乏しい非常に貧しい街のようですが、発表直後には爆上げを

期待する投資家が殺到した時期もあり、現在では逆に不動産の購入が厳しく制限

されており、普通の人では不動産の購入ができなくなったとの事です。

 

習首席ベットとも言える雄安地区ですが、小平の広州、深セン、江沢民の上海

に続く3匹目のドジョウとなるのでしょうか?

 

5. 内モンゴルのゴーストタウン「鬼城」

 

中国各地に存在する現実の需要を無視した開発を行ったものの、住む人や利用する

人がいないゴーストタウン、「鬼城(グイチャン)」は、日本のメディアでも時々

紹介されます。

 

モンゴルとの国境地帯である内モンゴル自治区は、そんな鬼城が多数存在する

地域だそうです。

 

通行する車がほとんどいない8車線道路、12,000人が収容可能な庁舎、巨大な

市営博物館に立ち並ぶマンション群、更には建設途上で放置された建物も数多く、

残念ながらほぼ使われていないハコモノが溢れているとか。。。

 

中央政府の目が届きにくく、石炭や天然ガスなど豊富な天然資源を持ち、巨大な

空き地もある内モンゴル自治区は開発が容易であったため、鬼城を多数生産する

結果になったと解説する人もいるそうです。

 

巨大な国土を擁する中国らしく、その規模は日本人の想像を遥かに超えています。

 

鬼城と言えば、橘玲さんの「中国私論」(2015年)も面白かったですね。

今年の春、「言ってはいけない中国の真実」として文庫化されたそうですので、

鬼城に興味が湧いた方は是非!

 

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言ってはいけない中国の真実 (新潮文庫) [ 橘 玲 ]

 

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6. その他

 

上記の他にも最近話題になることが多い、アジア地域での中国の経済協力、南京に

収まらず、カナダにまで及んだ反日運動など様々な中国事情が紹介されています。

 

数々の問題を抱えながらも成長を続ける中国、移動不能なお隣の国だけに、我々も

目を離せません。

 

本書を読んで現代の中国に対する理解を深めましょう。

 


さいはての中国(小学館新書)

 


さいはての中国 (小学館新書) [ 安田 峰俊 ]

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